【#俺マン2016 特別企画】200位圏ピックアップ座談会・延長戦

上位はもちろんだが、俺マンのもうひとつの見所は200位圏。3月10日に配布開始した#俺マン2016の小冊子では、この50位から200位圏の作品にスポットを当てる座談会を収録している。俺マン公式サイトでは冊子に収録できなかったお蔵出し「延長戦」パートを公開!

【座談会参加パネラー】
小林聖:俺マン主催のフリーライター
石田真悟:元書店員で現ゲッサンの編集者
芝原克也:日販・ほんのひきだし編集部クロスメディアディレクター
太田和成:あゆみBOOKS五反田店コミック担当

■2年連続ランクイン作品も多いスピリッツ系の存在感

石田 常連でいえば『応天の門』(灰原薬/196位)は超常連ですよね。
小林 2014年から3年連続ランクイン。去年までは2年連続50位圏内だし。このほかにも『トクサツガガガ』(丹羽庭/72位)『白暮のクロニクル』(ゆうきまさみ/116位)『阿・吽』(おかざき真里/141位)あたりは毎年入ってきてる。小学館の人がいる座談会でこういうこと言ってもお世辞に思われそうだけど、常連作品を見てくと小学館が強いんですよ。ビッグコミックスピリッツ、月刊!スピリッツの作品が目立つ。
太田 うん、去年は小学館強かった。
小林 スピリッツ系だと上には月刊!スピリッツの『あげくの果てのカノン』(米代恭/8位)やスピリッツの『スローモーションをもう一度』(加納梨衣/31位)なんかがいるけど、200位圏でも『アオアシ』(小林有吾/72位)『恋は雨上がりのように』(眉月ジュン/98位)みたいに2年連続ランクインしてる作品がたくさんあって、誌面全体が強くなってる印象。
芝原 200位圏には入らなかったけど、年末に1巻が出て即完売状態だった『早乙女選手、ひたかくす』(水口尚樹)なんかもスピリッツですよね。腹筋バキバキの体育会系女子の不器用ラブコメ。
小林 『早乙女選手』は年末に出て一気になくなったから、手に入ってない人も多かったのかも。今年以降期待ですね。
太田 しっかり読者をつかんでる感じがしますよね。『スローモーションをもう一度』も2巻なんかは初速が速かった。1巻を買った人がちゃんと買ってる感じ。
小林 1巻が出て一気に大ヒットという感じではないけど、着実に支持が広がってる作品が多い印象ですよね。その結果、何年も連続で俺マンに入ってくる「常連」作品が多くなってるという感じ。

■『柚子森さん』など「百合の料理の仕方」が見つかった?

石田 雑誌単位でいうと毎年強いのがCOMICリュウですよね。
小林 今年も『hなhとA子の呪い』(中野でいち/49位)『ライアーバード』(脇田茜/54位)『頂き!成り上がり飯』(奥嶋ひろまさ/196位)『クミカのミカク』(小野中彰大/196位)『アリスと蔵六』(今井哲也/196位)と多数ランクインしてますね。今年は『推しが武道館いってくれたら死ぬ』(平尾アウリ/9位)がかなり上位に来てさらに存在感が増してる。
石田 『推しが〜』はアイドルオタクのコメディだけど、百合的な要素もあって、そのバランスが絶妙。百合系は『柚子森さん』(江島絵理/87位)なんかもいい。
小林 この2作なんかは、百合系がそれほど好きでない僕もすごく面白く読めるんですよね。ほどよい。
太田 『柚子森さん』なんかは普通に「女の子かわいいな」って読める感じですもんね。
石田 みんなが百合の料理の仕方を見つけた感じがしますね。いわゆる「百合好き」でない読者も楽しめる形ができてきてる。「間」じゃなくて「キャラクター」なんだなって。

■俺マンユーザーにはもっと少女マンガが合うはず?

石田 俺マンが弱いジャンルのひとつに少女マンガもあると思うんですよね。
小林 今年でいうと『金の国 水の国』(岩本ナオ/3位)が上にいたり、全く入らないわけではないですけど、全体としてはそれほど強くないですね。河原先生がベテラン過ぎて票が逃げた感はありますが、『素敵な彼氏』(河原和音/87位)なんかももっと上に来ると思ってた。掲載誌で見ると、別冊マーガレットやフラワーズなんかの作品は比較的入ってくるけど、白泉社系の作品やデザートの作品なんかは取りこぼしがちな印象ですね。ここら辺は僕自身も見落としがちなんですけど。
石田 俺マンって情緒的な作品が好まれる傾向があるんで、少女マンガってもっと入ってきていい気がするんですよね。白泉社のAneLaLaなんかは合うと思うんだけどな。
太田 1月に1巻が出た『魔女くんと私』(縞あさと)とか? あれはLaLaだっけ。
小林 「男の魔女」に生まれた赤面系の転校生とのじれったいラブストーリーですね。2017年の注目タイトル。
石田 あと、個人的にはデラックスベツコミの『花園さん、結婚するんだって』(三つ葉優雨)あたりも注目してます。

■『おとなりコンプレックス』『かげきしょうじょ!!』……もっと売れてほしい少女マンガ

小林 今回200位圏には入らなかったけど、ランキングから掘り起こして面白かったのは『はるはなのみの』(河井英槻)。高校時代に片思いしていた男の子と、小学校の教師になって同僚として再会する話なんだけど、ものすごい瑞々しい。
石田 あれは太田さんも僕も推してますね。
太田 『ハチミツとクローバー』(羽海野チカ)の真山と山田さんの社会人バージョンみたいな感じ。男がハマる少女マンガなのかも。
小林 谷川史子先生の作品が好きな人とかハマると思うんですよね。この辺は僕も目配せができてなくて見落としてた。
太田 200位圏だと、女装男子と男の子に間違われるイケメン女子の『おとなりコンプレックス』(野々村朔/196位)なんかはずっと面白いと思って読んでました。これは発売後しばらくして伸びてきてる。
石田 『13月のゆうれい』(高野雀/40位)なんかと近いイメージですよね。『13月〜』は女装男子になって帰ってきた弟と、男を巡って三角関係になる姉の話だったり。
小林 もっと売れて欲しいというのでいうと『かげきしょうじょ!!』(斉木久美子/116位)も挙げたい。「オスカル様」を目指して歌劇団の養成学校に入る少女を主人公にした作品。
太田 最初のシリーズに当たる『かげきしょうじょ!』が店に入ってこないんですよね……。
小林 それね。もともとジャンプ改で連載していて、休刊に伴ってMELODYに移籍して今の『!』が2つのタイトルに変わったわけだけど、その関係もあって何かプッシュするタイミングを逃してる感じがするんですよね。もったいない。もうこの際『!!』からでいいから読んでほしい。
石田 『!!』で話も大きく動き始めましたしね。ただ、AKBっぽいグループの女の子が歌劇団に入るっていう部分が描かれる『!』の方の話も、今バズりそうな話ではある。いずれにせよ、話としては少年マンガとして読めるくらいの感じだから、男性にも手にとって欲しいですね。

※200位圏ピックアップ座談会本編は3月10日より書店にて配布中の小冊子『ツイッターユーザーが惚れたマンガ200冊』に収録しています。

nelja

「マンガの話をしよう」ネルヤ